意見提出:AI 時代における知的財産権に関して

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内閣府知的財産戦略推進事務局より10月5日付で募集がありましたパブリックコメント(AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集について)に関し、以下の見解を提出をいたしました。


①生成AIと著作権の関係について、どのように考えるか。

 以下の通り、見解を述べる。

<学習段階>
 現在、生成AIで著作物を無断で機械学習することを許容する法的根拠として、著作権法第30条の4(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)に規定される情報解析の用に供する場合の著作権の制限規定がしばしば引用される。しかしながら、Stable Diffusion、Midjoruney、及びDALL Eを始めとする画像生成AIに関し、以下の理由により第30条の4の権利制限の対象とはならず、画像生成AIの基盤モデル(Foundation Model)及び強化学習(Low-Rank Adaptation:LoRA)モデル作成にあたって、著作物を機械学習の用に供することは認められない。そのため、画像生成AIの機械学習における著作物の使用は著作権の原則に従ってオプトイン方式とし、著作者から著作物の使用許可を事前に得る必要がある。

  • 画像生成AIの生成物は享受目的で作成される。しかしながら、機械的に生成された画像生成AI生成物には思想又は感情の創作的表現は存在せず、実際に享受されているのは、機械学習に供された著作物に由来する創作的表現の混合物である。故に、画像生成AIにおける機械学習は、著作物に表現された思想または感情の享受目的が併存し、第30条の4の権利制限規定は適用できない。
  • 第30条の4は、著作物の市場に悪影響を及ぼさない範囲で、AIによる機械学習などの情報解析に著作物を許諾なく利用できるようにするために設定された。そのため、「著作権者の利益を不当に害する場合はこの限りではない」とする但し書きが設定されており、機械学習に用いられる著作物の種類・用途・利用態様に照らし、著作権者の利益を不当に害する場合は権利制限の対象外とされる。画像生成AIに類似の事例として、映画を作成する目的でディズニー映画をAIに機械学習させる行為は、著作権者の利益を不当に害する可能性が指摘されている(愛知, 2020)。画像生成AIの生成物は、学習元となった著作物の市場において直接的に競合し、将来における著作物の潜在的販路を妨害していることからも、権利制限の対象外である。実際に中国では、画像生成AIによるイラストレーターの代替が進んでいること、仕事の依頼が激減していることの報告がある(Zhou, 2023)。

 今後の創作世界及び産業の発展、並びにAIとの共存を模索するにあたっては、著作権者の保護及び著作者への利益の還元を確保することに一層の注意が必要である。画像生成AIの使用から著作者が対価を得るためには、学習に使用された著作物と著作者を連結する必要があり、また著作者本人の自由意志による参加及び使用許諾を保証するために、著作権の原則に従ったオプトイン方式が適切である。著作物の機械学習への使用拒否を示すことで初めて教師データから除外されるオプトアウト方式の適切な運用にあたっては、50億枚以上の無断使用画像データを著作者が個々に確認する必要があり、新しい画像生成AIモデルが日々構築されていること、画像掲載プラットフォーム間で無断転載が横行していることを踏まえると現実的でない。本来、著作物の使用許諾取得と適切な使用の責任は、著作者ではなく、著作物の使用者が負うものであり、オプトアウト方式のように、著作者にその適切な使用確認の責任を負わせることは不適当である。以上により、利益還元の現実的な運用及び文化の発展の観点からも、画像生成AIの機械学習は、著作権法30条4に規定する著作物の権利制限の対象外とする必要がある。
 本来、創作物は著作権によって保護されるべきものであり、生成AIの機械学習における著作物の無断使用について、米国を中心にフェアユースの該当性を争点とする訴訟が進んでいる(Brittain, 2023; Butterick, 2023)。それと同時に、著作物を機械学習に無断使用されない権利を確実とすることの重要性が叫ばれている(Berdicom, 2023)。

<生成段階>
  画像生成AI生成物においては、すべて又は大部分がAI生成物である制作物を著作権の保護の対象とせず、創作的寄与が明確に認められるもののみ保護の対象とすること。その判断基準は、アメリカ合衆国著作権局の事例及び「著作権登録におけるAI生成物を含む制作物の取り扱いに関する指針」に準じて(U.S. Copyright Office, 2023)、国際標準と同様の基準とすること。

  • 著作権の保護対象とするにあたって、人の創造性の産物のみが対象となる。プロンプト指示等によるAI生成物において、指定したプロンプトを受けて著者要件の伝統的要素である芸術的表現を行っているのはAIであり、指示者はAIによるプロンプトの解釈と表現にコントロールを持たない。そのため、著作物の著者としての基本的要件を満たさない。例え、プロンプトを工夫したり、沢山の生成物から吟味して画像の選択を重ねたとしても、芸術的表現そのものにコントロールを持たないことに変わりはなく、著者としての基本的要件を満たすことはなく、生成物が著作権の保護対象とはならない。
  • 実際に、アメリカ合衆国著作権局は、2018年11月3日にSteven Thalerが著作権登録を申請した画像生成AI生成物に対し、十分な人の創作的寄与が認められないことを理由に、翌8月12日、登録を拒絶した。申請者は不服を申し立て、再度申請したものの、2022年2月14日に再び登録を却下されている(U.S. Copyright Office, 2022)。最近では、Kristina Kashtanovaが2022年9月15日に申請した、画像生成AI(Midjourney)を用いて制作したコミックスについて、2023年2月21日、アメリカ合衆国著作権局は、プロンプト指示によって生成された画像に著作権を認めないと結論した(U.S. Copyright Office, 2023)。
  • 著作者の許諾を適切に得て開発された画像生成AIを用いる限りにおいて、その画像生成AIの生成物を、画集などと同様に参考資料の一つとして使用し、人の手による作画を始めとして芸術的表現そのものにコントロールを発揮する手法により作成された創作物は、著作権の保護対象と考えて差し支えない。

 画像生成AIは大量の制作物を短期間に生成でき、理論上、電子データとして存在するあらゆる表現の組み合わせを網羅することができる。それらのAI生成物、またはその微細な修正物に著作権を認めることは、画像生成AIを用いて大量に画像を生成する個人または法人による不当な著作権の独占を引き起こし、自由な創作を阻害する。以上により、文化の発展の観点からも、画像生成AI生成物は著作権の保護対象としてはならない。
 
<利用段階>
 AI生成物による著作権侵害は、AIを使用しない場合と同様に、依拠性及び類似性の観点から判断される。類似性の判断は、従来通り、「表現上の本質的な特徴を直接感得できるか否か」を基準とする。一方、依拠性においては、AI利用者が画像生成AIの機械学習に使用した著作物を認識しているか否かに関わらず、使用した画像生成AIの機械学習に使用されていた時点で依拠性を認めるべきである。

  • AI生成物の依拠性の判断は、愛知靖之氏の「AI生成物・機械学習と著作権法」での考察を支持する。すなわち、AI生成物の作成プロセスにおいて、学習済みモデル内の著作物というデータにアクセスがある場合には依拠性があると判断すること、例え、著作物がパラメータとして抽象化・断片化している場合においても、表現がアイデアに変換されたとは判断せず、元の著作物の表現へのアクセスがあったと判断することが適当と考える(愛知, 2020)。
  • AIの開発者と使用者が異なる場合においても、機械学習に使用した著作物の創作的表現が画像生成AI生成物に現れ、類似性が認められるのであれば、使用者も間接的に元の著作物に依拠したものと判断することが適当と考える(間接依拠)

 現在、画像生成AI提供企業は、機械学習に使用したデータの開示をしていない。もし機械学習に使用されていることに加え、それをAI使用者が知覚していることを依拠性認定の条件とする場合、依拠性を認定することは不可能であり、著作者が不当な利用行為の差し止め請求や損害賠償請求等の民事上の請求等を行うことは事実上できない。民事上の請求が期待できない裁判の金銭や時間的負担は非常に重く、著作者による司法を通じた解決を非常に困難なものにしている。

 以上の通り、現在の画像生成AIの運用は、機械学習に使用される著作物を持つ著作者に対して非常に不利である。2019年の著作権法改正にて30条の4を設定した際の「著作者の権利は通常害しない」とする前提が覆っていることを踏まえ、立法による利害の調整及び権利者の保護が早急に必要であり、それにあたって、権利侵害及びその周辺にまつわる被害を実際に被っている権利者の声を直接聞くことは必須である。立法における対応の重要性を反映し、米国及び英国においては議会による主導の下、公聴会に当事者を招聘し、積極的な意見聴取が行われている(U.S. Senate Committee on the Judiciary, 2023; Communications and Digital Committee, 2023)。我が国においてもAI戦略会議など、当事者不在の閉じられた環境で方針を検討するのではなく、議会主導かつ透明な環境の下で当事者の意見を適切に取り入れ、適切な法整備に繋げる必要がある。
 なお、本協会では画像生成AIにおける問題について著作権制度の整備の観点から提言を公表している。生成AIと著作権の関係を検討する際にはこちらも参照されたい(クリエイターとAIの未来を考える会, 2023)。

引用文献

  1. 愛知靖之 (2020) AI 生成物・機械学習と著作権法. 日本弁理士会. パテント 2020 Vol.73 No.8(別冊 No.23).
  2. Zhou, V. (2023) AI is already taking video game illustrators’ jobs in China. Rest of world. Available at https://restofworld.org/2023/ai-image-china-video-game-layoffs/ .Accessed Nov 3, 2023.
  3. Brittain, B. (2023) Getty Images lawsuit says Stability AI misused photos to train AI. Reuters. Available at
  4. https://www.reuters.com/legal/getty-images-lawsuit-says-stability-ai-misused-photos-train-ai-2023-02-06/. Accessed Nov 3, 2023.
  5. Butterick, M. (2023) We’ve filed a lawsuit challenging Stable Diffusion, 21 st-century collage tool that violates the rights of artists, Stable Diffusion litigation. Available at https://stablediffusionlitigation.com/#. Accessed Nov 3, 2023.
  6. Berdicom (2023) Proposed law sets ethical boundaries for AI-generated works. Berdicom. Available at https://berdicom.org/f/proposed-law-sets-ethical-boundaries-for-ai-generated-works. Accessed Nov 3, 2023.
  7. U.S. Copyright Office (2023) Copyright Registration Guidance: Works Containing Material Generated by Artificial Intelligence. Available at https://www.federalregister.gov/documents/2023/03/16/2023-05321/copyright-registration-guidance-works-containing-material-generated-by-artificial-intelligence. Accessed Nov 3, 2023.
  8. U.S. Copyright Office (2022) Re: Second Request for Reconsideration for Refusal to Register A Recent Entrance to Paradise (Correspondence ID 1-3ZPC6C3; SR # 1-7100387071). Available at https://www.copyright.gov/rulings-filings/review-board/docs/a-recent-entrance-to-paradise.pdf. Accessed Nov 3, 2023.
  9. U.S. Copyright Office (2023) Re: Zarya of the Dawn (Registration # VAu001480196). Available at https://www.copyright.gov/docs/zarya-of-the-dawn.pdf. Accessed Nov 3, 2023.
  10. U.S. Senate Committee on the Judiciary (2023) Artificial intelligence and intellectual property – Part II: Copyright. Available at https://www.judiciary.senate.gov/artificial-intelligence-and-intellectual-property_part-ii-copyright. Accessed Nov 3, 2023.
  11. Communications and Digital Committee, 2023, At risk: our creative future, Available at https://publications.parliament.uk/pa/ld5803/ldselect/ldcomm/125/12502.htm. Accessed Nov 3, 2023.
  12. クリエイターとAIの未来を考える会 (2023) 画像生成 AI の適正使用及びそれに伴う著作権制度の整備等に関する提言(第 2 版). Available at https://support-creators.com/archives/87. Accessed Nov 3, 2023.


② 生成AIと著作権以外の知的財産法との関係について、どのように考えるか。

 以下の通り、見解を述べる。

<特許権、実用新案権、意匠権、商標権について>
 生成AIの機械学習に、「特許権」「実用新案権」「意匠権」「商標権」等により保護された画像やテキスト等を用いる事で、それらの類似物が出力される事は起こりえる。そのようなAI生成物が商業利用され、権利侵害が生じた際の責任の所在を明確にし、生成AI使用者に権利侵害の責任を負担させる必要がある。
 画像生成AIは機械学習に用いたデータに表現される内容を合成して出力するため、機械学習に使用した元のデータと類似又はほぼ同じ生成物が出力される事がある(Melissa Heikkilä, 2023; Somepalli et.al., 2023; でんでん, 2023)。このようなAI生成物が権利侵害を引き起こした際の考え方は諸説あるが、一部では「AI利用者がAIの学習データとして何が利用されているか知らない場合は、AI利用者に故意も過失もないことになり、AI利用者は損害賠償責任は負わない」とする考え方もある(柿沼, 2022)。このように、画像生成AIの開発者と使用者が異なること又はAIが生成したことを理由に、侵害行為における故意と過失の存在を認めないとすると、たとえ権利侵害そのものが認められた場合でも、加害者に損害賠償責任を問う事が出来ず、損害を取り戻す事が出来ない。「既に権利登録されているものであるかの確認を怠った」ことで過失が認められても、損害に対する責任範囲及び責任の程度が小さすぎるという事になる。訴訟の提起後に、権利侵害物がAI生成物と判明する事態も想定され、訴訟を解決手段に選択することは著しく困難となる。権利者の適切な保護が無い状態で生成AIがさらに普及すれば、多発する権利侵害を解決するための権利者の負担は甚大となり、知的財産権は形骸化する。

<パブリシティ権について>
 画像生成AIの機械学習に無断で芸能人を含む個人の画像を用いること及びそのような画像生成AIを用いて実在の人物に類似する画像を生成する行為を許容してはならない。
 実在する人物の画像を生成AIに機械学習させ、類似するグラビア画像の生成やポルノに改変する事例は多数報告されている(猪谷, 2023)。また、それらを脅迫に用いる事例や児童ポルノを生成する事例もある(Burgess, 2023)。特定の人物を指定せずとも、実在する人物に類似する生成物またはその改変物を出力し得る生成AIの機械学習では、著作権法30条の4の適用外である「享受を目的とした利用」と同様に捉え、写真等の無断使用は許容されない。

引用文献

  1. Heikkilä, M. (2023) 画像生成AI、元データをほぼそのまま出力 著作権侵害の恐れ. MIT Technology review. Available at https://www.technologyreview.jp/s/298493/ai-models-spit-out-photos-of-real-people-and-copyrighted-images/. Accessed Nov 3, 2023.
  2. Somepalli, G., Singla, V.,Goldblum, M., Geiping, J., Goldstein, T. (2023) Diffusion Art or Digital Forgery? Investigating Data Replication in Diffusion Models. Computer Vision foundation. Available at https://openaccess.thecvf.com/content/CVPR2023/papers/Somepalli_Diffusion_Art_or_Digital_Forgery_Investigating_Data_Replication_in_Diffusion_CVPR_2023_paper.pdf. Accessed Nov 3, 2023.
  3. でんでん (2023) 【小話】にじジャーニーのヤバさ. Note. Available at https://note.com/den2_nova/n/n2400e3bbcb26. Accessed Nov 3, 2023.
  4. 柿沼太一 (2022) Midjourney、Stable Diffusion、mimicなどの画像自動生成AIと著作権(その2). STORIA法律事務所. Available at https://storialaw.jp/blog/8883. Accessed Nov 3, 2023.
  5. 猪谷千香 (2023) 実在女性に似てた? 一瞬で消えたAIグラドル「さつきあい」の法的問題. 弁護士ドットコム. Available at https://www.bengo4.com/c_23/n_16154/. Accessed Nov 3, 2023.
  6. Burgess, M. (2023) The AI-generated child abuse nightmare is here. Wired. Available at https://www.wired.com/story/generative-ai-images-child-sexual-abuse/. Accessed Nov 3, 2023.


③ 生成AIに係る知的財産権のリスク回避等の観点から、技術による対応について、どのように考えるか。

 以下の通り、見解を述べる。

 質問①に対する回答に記載の通り、現在の画像生成AIは著作権に問題を始め、様々な課題を抱えており、今後、以下のような技術による対応の必要性を認める。

  • 機械学習をできず、かつ製作者以外が変換できない画像形式等の技術:著作者の事前の許諾の無いAIによる機械学習を防止することができる。現時点で、それに近い技術として、NightShade、Glazeなどが報告されている(Shan et al., 2023; Melissa Heikkilä, 2023)
  • 画像生成AI生成物であることを示す透かし又は記号を、視覚的及び電子的に明示し、かつ削除不可能な形で導入する技術:創作的寄与が乏しく本来は著作者足りえない者が、AIを使用せずに自ら創作した作品であることを僭称し、著作権を主張する事例を防ぐことができる。なお、視覚的に明示的でない電子透かしのみの対応はスクリーンショット、ファイル形式変換、メタデータ削除等で迂回される可能性が高く、現実的に機能するとは考えにくい。また、視覚的透かしのみの対応も生成AIによる画像操作にて迂回される可能性があり、両方を組み合わせてかつ削除不可能な形で導入することが重要である。
  • 画像の生成に使用したAIモデル及び著作物の起源を、削除・変更できない形で画像に埋め込む技術:使用されたモデルや著作物の起源を透明化することで、機械学習への使用料の請求及び生成物による著作権侵害に関する依拠性の証明が可能となる。
  • 生成AIでの他者の著作物、著作者名などのプロンプト指定を防止する技術(入力制限)及び画像生成AI生成物が、既存の著作物又は学習に使用した著作物と類似しないことを保証する技術(出力制限):既存の著作物の類似物の生成及び特定作者の画風を盗用した画像の生成を避けることができる。
  • 著作者が許諾していない著作物を機械学習から除外する技術:無断転載等の違法複製物を含む、著作者の許諾の無い著作物の不正使用を防止することができる。

引用文献

  1. Shan, S., Cryan, J., Wenger, E., Zheng, H., Hanocka, R., Zhao, B. Y. (2023) Glaze: Protecting Artists from Style Mimicry by Text-to-Image Models. Proceedings of USENIX Security Symposium.
  2. Heikkilä, M. (2023) This new data poisoning tool lets artists fight back against generative AI. MIT Technology review. Available at https://www.technologyreview.com/2023/10/23/1082189/data-poisoning-artists-fight-generative-ai/. Accessed Nov 3, 2023.


④ 生成AIに関し、クリエイター等への収益還元の在り方について、どのように考えるか。

 以下の通り、見解を述べる。

 生成AIの開発・生成・利用における収益還元は、著作権の本来の原則に従い、まず第一に著作物を機械学習へ使用する対価を著作者に支払う必要がある。対価の設定および支払いに関しては以下に留意すること。

  • 著作物使用の対価の設定および支払いは機械学習への使用前に実施すること。機械学習に使用した後では、その使用料を不当に減額される可能性があり、著作者の権利の保護にはそぐわない。
  • 対価の設定においては、将来の画像生成AIの使用回数等も踏まえた適切な価格とすること。特に特定のクリエイターの画風を抽出して使用する形式の生成AIモデル開発への使用許諾に際しては、潜在的に著作者の著作物全般の市場と競合することを踏まえ、その著作者が、著作物から将来得ると想定される対価についても慎重に考慮する必要がある。また、創作物市場の価格暴落が起こらないよう十分に検討された最低金額を、行政において設定し、その履行を適切に指導すること。
  • 機械学習への使用への許諾取得の際には、権利者が正しく情報を理解した上での自由意志による参加を保証するため、同意説明文書を用いて機械学習への使用に関する将来の不利益の可能性についても十分に説明し、文書による合意を得ること。同意説明文書は、事前に独立した倫理委員会の審査を受け、倫理的観点も含めた内容の適切性を確保すること。
  • 収益還元能力を持たない個人・企業が、著作者に対して著しく不利な収益還元条件を設定することで不当な価格競争などが生じることのないように、画像生成AI提供に関する免許制度を設け、審査にあたっては財務状況の評価など収益還元能力を十分に評価すること。

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